2025年上半期、日本の不動産投資額が3兆1,932億円と過去最高に。東京都心のオフィスが牽引し、世界都市別ランキングでは東京が首位を維持。
2025年上半期、日本の不動産市場では投資額が前年同期比22%増の3兆1,932億円に達し、過去最高を記録しました。
不動産サービス大手 ジョーンズラングラサール(JLL) の調査によると、上半期で3兆円を超えるのは統計開始(2007年)以来初の快挙です。
■ 東京都心オフィスが市場をけん引
相対的な低金利と賃料上昇への期待を背景に、都心のオフィス取引が活発化。
三菱地所がREITから「赤坂パークビル」を取得するなど、大型再編が相次ぎました。
またワコールが京都の自社ビルを売却するなど、企業による資産売却も目立ちます。
オフィス投資は全体の53%を占め、都心不動産の人気が根強い状況です。
■ 地域別動向:都心5区が過半数を占める
千代田・中央・港・新宿・渋谷の都心5区が全体の56%を占有し、2018年以来の高水準に。
一方で大阪圏(大阪・兵庫・京都・奈良)は21%から10%へ縮小。
大阪・関西万博関連のホテル投資が一巡したことが影響しています。
また、**千葉・埼玉・神奈川の3県も11%**と前年より拡大。物流・オフィス需要が堅調に推移しています。
■ 海外投資家の流入が急増
海外投資家による購入額は3.7倍の1兆948億円に達し、全体の34%を占めました。
米ブラックストーンによる「東京ガーデンテラス紀尾井町」約4,000億円の取得は象徴的な取引です。
円安や安定的な金融環境が、日本不動産の投資先としての魅力を高めています。
■ 今後の見通し:年間6兆円規模へ
JLLは通期で約6兆円規模に達する見通しとしています。
リサーチ部の谷口学シニアディレクターは次のようにコメント:
「金融機関の不動産融資も積極的で、投資機会は今後も増えていくだろう」
現在、都心Aグレードオフィスの投資利回りは2%台前半で推移。
金利上昇が進めば、利回り上昇の可能性もあります。
■ 世界市場でも「東京」が圧倒的首位
世界全体の投資額は3,580億ドル(約55兆円)で21%増。
東京は160億ドル(約2.5兆円)でダラス・ニューヨークを抑えて世界都市別1位を維持しました。
